宝塚市市議会
宝塚市の新市立病院、設計費は約9.7億円 令和14年度開院予定、現病院は資金繰り「非常に厳しい」と説明

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今回のポイント(市民生活への影響)
- 新病院の基本設計・実施設計に9億7,278万5千円の債務負担行為が設定されました。市の資料では開院は令和14年度の予定です
- 市は、今回の設計費は基本計画の設計監理費約20億円の内数で、追加の計上ではないと説明しました
- 現病院の令和7年度決算は約4億2,808万円の純損失で、市は資金繰りは非常に厳しい状況にあると説明しました
- 新病院の開院までに現病院で必要な修繕・設備更新は、市の保全計画で約103.9億円(消費税を含まない)とされています
宝塚市議会9月定例会で、新市立病院の基本設計・実施設計業務を委託するための債務負担行為9億7,278万5千円が可決されました。市の資料では、設計期間は令和9年4月から令和11年3月まで、新病院棟は現在の第1駐車場のエリアに整備し、開院は令和14年度の予定です。一方、令和7年度の病院事業会計決算では、現在の市立病院は約4億2,808万円の純損失となり、委員会で市は資金繰りは非常に厳しい状況にあると説明しました。この記事では、文教生活常任委員会の報告書と提出資料をもとに、新病院の設計と現病院の経営について、何が問われ、市がどう説明したのかを整理します。
新病院の設計費は9億7,278万5千円
宝塚市議会9月定例会では、新市立病院に関わる議案第69号(令和8年度病院事業会計補正予算(第1号))、議案第72号(病院事業の設置等に関する条例の改正)、議案第78号(令和7年度病院事業会計決算認定)が文教生活常任委員会で審査され、いずれも全会一致で可決・認定されました。
議案第69号は、新病院の建築工事に必要な図面や仕様などを作る基本設計・実施設計業務を一括して委託するため、9億7,278万5千円の債務負担行為(複数年度にわたる支出をあらかじめ約束しておく予算上の手続)を設定するものです。市の資料では、このうち7億2,430万円を地方債でまかなう予定とされています。
あわせて、設計業者を選ぶ選定委員会に外部の委員を招くための報酬と旅費として、令和8年度の病院事業費用を34万円増額しています。
なお、新病院の病床数や診療科、計画案の概算事業費、パブリック・コメントについては、関連記事「宝塚市の新病院、310床・30診療科で2032年度開院予定」で紹介しています。この記事で扱う設計費は、その計画にもとづく設計業務の費用です。
どこに、いつ建てる予定か
市の資料によると、新病院棟は約33,000㎡(地下の免震層約4,400㎡を含む)で、現在の第1駐車場のエリアに新築する計画です。設計には、新病院棟の新築のほか、外来診療棟の改修と、放射線治療棟を引き続き使うための接続の設計も含まれます。
設計業務は、令和8年11月頃に策定を終える予定の新病院整備基本計画にもとづいて行うとされています。市の資料で示されている予定は次のとおりです。
- 令和8年11月〜令和9年3月:設計業者を選ぶ公募型プロポーザル
- 令和9年4月〜令和11年3月:基本設計・実施設計
- 令和11年度〜令和14年度:新病院棟の建設工事
- 令和14年度:新病院棟の開院
- 令和15年度:外来診療棟の改修工事
なぜ設計費が約9.7億円なのか
委員会では、9億7,278万5千円という金額が妥当かどうかが問われました。市は、「官庁施設の設計業務等積算基準」と同要領にもとづいて算出したものに、人件費の高騰分を考慮して見込んでいるため妥当だと説明しました。市の資料では、内訳は直接人件費、諸経費、技術料等経費、特別経費(建材の石綿含有の分析費など)を合わせた業務価格8億8,435万円に、消費税等相当額8,843万5千円を加えたものとされています。
また、市は同じ規模の他市の設計業務の予定価格(税込)を比較資料として示しました。箕面市(390床、38,900㎡)は10億5,371万7千円、三田市(425床、40,790㎡)は10億9,900万円、伊丹市(602床、56,900㎡、設計は令和2〜4年度)は5億9,290万円です。宝塚市は310床程度・33,000㎡の計画です。
【基本計画の「約20億円」との関係】委員会では、当初の基本計画に設計監理費として約20億円が計上されていたのに対し、今回の設計業務の委託費が約10億円となっている点も問われました。市は、今回の約10億円を追加で計上しているわけではなく、基本計画の約20億円に当初から含まれている、つまり約20億円の内数だと説明しました。今回の9億7,278万5千円は、基本計画で見込まれていた約20億円とは別に増えた費用ではない、ということになります。
【設計と施工を分ける発注方式】市は、設計を終えてから施工業者を決める「設計施工分離方式」を選んでいます。委員会では、この方式のデメリットと起こり得るリスクへの対策が問われました。市は、この方式がリスクとデメリットが最も少ないと考えて選定したと説明し、デメリットとしては、最終的な設計の後に施工業者を決めるため、設計段階で施工者を確保できない点を挙げました。
このほか、借入先についても質問があり、市は、市中銀行より地方公共団体金融機構や政府系金融機関から借りるほうがやや有利なため、後者を県に申請し、県からの通知を受けて決定すると説明しました。
設計業者はどう選ぶのか
議案第72号は、新病院の基本設計・実施設計を行う事業者を選ぶため、病院事業管理者の附属機関として「宝塚市新病院整備基本設計・実施設計業務事業者選定委員会」を設ける条例改正です。市の資料では、委員は大学教授2人、市内の介護・福祉関係の事業者1人、市立病院の職員3人(副事業管理者、病院長、看護部長)の計6人の案です。委員会は、事業者の選定が終わる令和8年度末で廃止するとされています。
市の資料では、令和8年11月に実施要領などを決め、令和8年11月から令和9年2月まで公募を行い、令和9年2月から3月に審査して優先交渉権者を決める予定です。評価項目の案には、会社と担当チームの実績、業務方針、病院建築の技術的提案、コスト管理、災害対策・環境対策、市民や病院関係者への対応力(合意形成力)、価格などが挙げられています。
委員会では、選定委員に市民や患者が入っていない点が問われました。市は、プロポーザル方式のガイドラインでは原則として職員5人以上で審査会を設け、必要な場合は専門知識を持つ外部委員を委嘱できるとされており、今回は高度な専門性が求められることから外部委員を加えたため、市民を委員としない形が基本になっていると説明しました。介護・福祉関係の事業者を委員に加える理由については、動線計画やユニバーサルデザイン、医療・介護連携の観点から、高齢者や障がい者、介護福祉事業者にとって利用しやすい整備かを多角的に評価するためと説明しています。
現病院の令和7年度決算
議案第78号は、令和7年度の病院事業会計決算の認定です。委員会報告書によると、収益的収支は収入総額142億9,810万円、支出総額147億5,941万円(いずれも消費税等を含む決算額)で、差し引き約4億6,131万円の赤字となり、消費税等の経理処理をした結果、当年度の純損失は約4億2,808万円でした。建物や設備への投資などの資本的収支では約9億885万円の資金不足が生じ、損益勘定留保資金などで補てんしています。
委員会では、5年連続で収益が増えている一方、患者数が減る中で単価の上昇による収益増が続くとは限らないのではないかと問われました。市は、入院・外来とも単価を上げる努力をしており、診療報酬改定も含めて今後も単価は上がっていくと予測していると説明しました。令和8年7月から全病棟を稼働させたことで入院患者数も増えていくと考えているとしています。
資金繰りは「非常に厳しい」と市が説明
委員会では、令和7年度末の現金預金が約6億6,500万円まで減る一方で未収金が約19億5,400万円あり、業務活動によるキャッシュ・フローも前年度の約9億4,900万円のプラスから約6,600万円のマイナスに転じている点が問われ、資金繰りをどの程度厳しいと認識しているかが質問されました。
市は、現金残高が約6億6,500万円となっており、資金繰りは非常に厳しい状況にあると認識していると答えました。そのうえで、令和7年度は補助金約2億8千万円の返還と長期借入金3億円の返済という臨時的な支出があったと説明しました。長期借入金の返済額は令和8年度が7千万円、令和9年度以降は8,500万円となる見込みで、令和8年度以降は返済の負担が軽くなることから、令和7年度が最も厳しい年度だったと考えているとしています。
黒字化の目安と医師不足
委員会では、単価の上昇だけで収益を維持できるのか、経営上必要な患者数はどの程度かが問われました。市は、単価の上昇だけでは黒字化はなかなか実現できず、患者数の獲得が必要だと説明しました。そのため、土日や休日の救急の受け入れ率を70%まで上げようとしていることや、外来の初診患者を増やすために近隣のクリニックを訪問して紹介患者を獲得する活動をしていることを挙げています。
必要な患者数については、令和8年7月の実績で損益計算書が黒字になった際の患者数が約280人で、今後も280人以上の患者を確保できれば黒字になると考えていると答えました。
医師の体制では、脳神経外科と救急科がそれぞれ医師2人体制となっている点が問われました。市は、どちらも現在の2人体制では充足しておらず、3人目の医師の確保を以前から要望していると説明しました。脳神経外科は以前3人のときもあったが1人減っており、その原因の一つとして医療機器が古いことが挙げられ、機器を整備することが医師の確保にもつながると考えていると答えています。循環器内科など医師が不足している診療科についても、大学の医局などに医師の派遣を続けて要望しているとしています。
市が委員会に提出した資料では、令和7年度の脳神経外科の医師2人の月平均の時間外労働は67.5時間で、2人とも36協定(時間外労働の上限を定める労使協定)の上限を超えて時間外労働をしていたことが示されています。
新病院の開院まで現病院をどう維持するか
新病院の開院は令和14年度の予定で、それまでは現在の病院を使い続けることになります。市の資料によると、市立病院は平成27年に20年間の長期保全計画を作り、計画にもとづいて修繕や設備の更新を行ってきました。策定から10年がたったことと新病院への建て替えが決まったことから計画を見直し、新病院までに必要な設備更新を整理しています。
見直した保全計画の概算費用は、令和8年度から令和17年度までの各年度分と、時期を定めていない項目(緊急度4)を合わせた合計で約103.9億円(諸経費込みの工事費、消費税を含まない)で、このうち約50億円は配管類とされています。工事に伴って病院機能を一時休止する場合の減収は含まれていません。市の資料では、残りの使用年数も考えながら、影響が小さい項目は不具合が出てから対応し、安全性に関わる項目は予防的に対応するなど、バランスを取りながら保全を行うとしています。実施する工事は、毎年度の予算編成時に計画するとされています。
この約103.9億円は、新病院を建てる費用ではなく、新病院の開院まで現在の病院を維持するための修繕・設備更新の計画額です。新病院の設計費9億7,278万5千円とは別のもので、両者を合わせた金額が新病院の事業費になるわけではありません。
今後の予定と確認したいこと
- 新病院整備基本計画の策定:市の資料では令和8年11月頃に策定を終える予定です
- 設計業者の選定:令和8年11月から令和9年3月にかけて公募型プロポーザルを行い、優先交渉権者を決める予定です
- 基本設計・実施設計:令和9年4月から令和11年3月までの予定です
- 建設工事と開院:工事は令和11年度〜令和14年度、開院は令和14年度の予定です
- 現病院の経営:市が示した救急の受け入れ率70%の目標や、患者数約280人以上の確保がどうなるか
- 委員会での質疑の詳しいやり取りは、会議録の公開後に確認できます
新病院の設計費と現病院の主な数字(区別して読む)
| 項目 | 金額・内容 | 何の数字か |
|---|---|---|
| 新病院の基本設計・実施設計 | 9億7,278万5千円(うち地方債7億2,430万円) | 新病院を建てるための設計業務の債務負担行為(議案第69号) |
| 基本計画の設計監理費 | 約20億円 | 市は、今回の設計費はこの内数だと説明 |
| 現病院の令和7年度純損失 | 約4億2,808万円 | 令和7年度病院事業会計決算(議案第78号) |
| 現病院の令和7年度末の現金預金 | 約6億6,500万円 | 委員会の質疑で示された数字。市は資金繰りは非常に厳しいと説明 |
| 現病院の未収金 | 約19億5,400万円 | 委員会の質疑で示された数字 |
| 現病院の保全計画 | 約103.9億円(消費税を含まない) | 新病院の開院まで現在の病院を維持するための修繕・設備更新の計画額。新病院の建設費ではありません |
出典:宝塚市公式サイト
追加出典:宝塚市議会「令和8年9月定例会」委員会に提出された資料(議案第69号・第72号・第78号の資料)、宝塚市議会「令和8年第3回定例会(9月) 市長提出議案」(議案等一覧・審議結果)、宝塚市「新病院整備に向けた取組」
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